この前、会社で飲み物を買おうと思って財布を確認したら、中に1,000円しか入ってなかった。確かに給料日は少し先でちょうど金が無くなってくるころだけれども、流石に1,000円は中学生のお小遣いレベルで困ってしまった。

普通の日ならまだ良かったのだが、ちょうど飲みに行く日で、現金持ってないとやばい。そこで、会社の人にビル内のATMの場所を聞いて引き出しに行ったのだが・・・。Oh! No! タッチパネルしかなくて、数字キー付きのインターフォンが無かったため、現金が・・・。

そういう話を会社の人としているとき「見えないとタッチパネルが使えなくて困るよね。でも最近タッチパネル多いから困らない?」と言われた。

ええ、タッチパネルが溢れていて大変困っている。詳しく説明しておいたので、そのメモをここにも残しておこう。

第1にさっきのATM。郵便局のATMはハードキーが付いているし、最近は銀行ATMでもインターフォンに数字キーが付いていて、その数字キーで引き出し/預け入れの操作ぐらいだったらできる機械が多くなってきているが、依然としてタッチパネルしかないATMも存在する。某コンビニのATMとか。セブンイレブンじゃありませんよ。それに、関東は需要が多いのであれだが、地方なんかだとユニバーサルデザインATMは少ない所もあるんじゃなかろうか。

第2にカラオケ。デンモクに代表されるように最近はタッチパネルの端末でリクエストする。これが使えれば便利だなぁと思うのだが、残念なことにそうした端末を直接利用することはできない。だから、全盲だけでカラオケにいくと、インターネットでリクエスト番号を検索して、昔ながらの数字ボタンのリモコンでリクエストを入れるのだ。ただし、最近はiPhone上で動作するアプリを使って、デンモクのようにリクエスト操作ができるようだ。「デンモクLite」というアプリを使って、DAMの機械で昨日試してみたが、自分のiPhoneで検索した楽曲をリクエストしたら、ほんとに入った。あれはなかなか画期的だが、カラオケの機械とiPhoneをペアリングするのにQRコードを読み取る必要があるなど、そもそも全盲がデンモクの代わりに使うことを想定してなさそうな感じはプンプンする。あ、そういえばジョイサウンドのアプリは「VoiceOver対応」と書いてあって確かに読むけど、ペアリングは全盲でも自力でできるのかなあ・・・。

第3に飲食店での注文。安い居酒屋は人件費削減の一貫としてタッチパネル端末からの注文が可能となっていて、普通店員を呼ぶ手間もかからないから歓迎されるだろう。けれども、すいません、全盲はどうやって注文すれば?会社の人と飲みに行くときは問題ないけれども、全盲の有人と飲みに行って、たまたま入った店がそういうシステムだったもんで、だいぶ困った。そのときは、しょっぱなに案内してくれた人に最初の注文を伝え、その後は飲み物や食べ物を持ってきたときにバケツリレーよろしく追加注文を途切れさせないようにして対処した気がする。あぁいうところで、何も無い状態から店員をつかまえるのは容易でないので。

飲食店については、最近回転寿司もそんな感じであろう。回転寿司なのに、回転してるやつを取らずに注文ばっかりしてる人が最近は多い気がする。もう、あのベルトコンベアは、注文の品を届けるためのツールと化しているのでは?当然そんな回転寿司でも自分では注文できず・・・。はま寿司のシステムでは注文確認の際に音声が出るから、注文のときにも音声を出そうと思えば出せそうなんだけどなぁ。

ただし、回転寿司の場合、そもそも全盲は皿を取れないという問題があって、注文どうこうはその問題をクリアしてからでないといけない。これについては、「皿に非接触型ICチップを埋め込んでカードリーダで読み取ることにより、現在回っている寿司のネタを判別できるのではないか」というアイデアを具体的に俺が考案したのだが、一向にそのシステムが開発されたという話を聞かないねえ。と思っていたら、考案しただけで文章化していなかったらしい。では、この件は日を改めてメモしておくことにしよう。

タッチパネルで困ることは、他にも駅の券売機を全機能使えないとかあるけれども、主要なところは以上である。ちなみに券売機の場合、買いたい金額が分かれば画面右下の数字ボタンを使えば購入可能だが、JRと私鉄の乗り継ぎ切符を買ったりするのはできない。

タッチパネルはスクリーンに表示する項目と操作項目を統一できたり、操作項目を画面と同時に動的に変更できるなど、一般的には便利なインタフェースである。だから今後もどんどん増えていくことに間違いはない。携帯だってほとんどそうだしねえ。そんな中で、公共の場で全盲の視覚障害者がタッチパネルのインタフェースを使うために、どのような方法が良いのか考える必要が、今後ありそうだ。まぁ、暇なときに考えてみよう。

ところで、「iPhone使ってますよ」と言っても、どうやって使うかについて言及されたことが一度もないのだけれど、みんなタッチパネルのiPhoneを全盲が使うことに対して疑問を持たないものなのかね。VoiceOverを知ってればともかく、私の周りの晴眼者はみ~んなAndroidユーザなので・・・。