年末であちこちへ出かけても、人・人・人・・・。郵便局へ行けば行列に並び、区役所へ行けば窓口に呼ばれるまで大分待たされ・・・。ほっと息をつけるのは、もしかしたら、これらの施設へ行く途中のコンビニコーヒーか、運悪く赤になってしまった信号ぐらいじゃないだろうか。

さて、その信号だけれども、全盲にとっては「良い信号」と「あまり良く無い信号」と「訳分からん信号」など、いくつかタイプが存在する。

「良い信号」は音の鳴る信号だ。「あまり良くない信号」は音が鳴らなくてかつ十字路でないところの信号だ。十字路なら、音が鳴らなくても進行方向の車が動き出せば青だと分かる。「訳分からん信号」は音の鳴らない五叉路や三叉路の信号だ。

で、本題なのだが。

この前、変速十字路の信号を待っていた。この信号機は普段音はならないが、押しボタンを押せば音が鳴るタイプである。俺はそのとき面倒だったので押しボタンを押さなかったんだけども・・・。控えめに見ても、白杖利用者じゃない人がボタンを押してくれて、俺は無事横断歩道を渡ることができたとさ。

一方、音の鳴る信号かどうかに関わらず、「青になりましたよ」と声をかけてくれる人も大勢いる。音の鳴らない信号ではとても助かっている。

この二つの例は、どちらも「優しさ」だと思う。前者は、音が鳴るように俺の代わりに押しボタンを押してくれた。後者は俺のために声をかけてくれた。違いは、「無言」か「声がけがあった」かである。

無言の優しさも有り難いのだが、個人的には「声がけの優しさ」の方がうれしく思う。今回は信号の例を挙げたが、他にもいろんな優しさがある中で、「声をかけてくれたらお礼を言おう」と思える「無言の優しさ」はいっぱいあるのだ。

無言で服を捕まれてエスカレーターにつれて行かれたり(エスカレーターに行きたくなかったら無駄な優しさというか、ただの迷惑になっちゃう)、

電車で、無言で座席を立ち譲ってくれようとしたり(声かけてもらわないと座席を立ってくれたことに気づかないことある上に、別のやつが座ることもある)、

歩いているときに誘導するつもりか、無言で鞄をつかまれたり(人の鞄に勝手に触るな!)、

ひどいときには、むんずと身体をひっつかまれて誘導されたり(女の子にやったらセクハラになります)、

などなど、本人は優しさでやっていることでも、無言でやると「キャアー!この人痴漢です!」的なことにもなるかもしれないし、そもそもサポートを受けてもお礼を言うきにならん。まあ、数%、邪魔に思ってそうした無言の優しさを押しつけてくる方もいますが・・・。

是非とも障害者のサポートしていただけるときは声をかけてください。視覚障害の場合、声をかけても無反応な場合が多々ありますが、近づいて話しかけて、なんとなく気づいた様子になったら、「失礼ですが腕を引いてもいいですか?」といった風にステップ・バイ・ステップでお近づきいただければ問題ないので・・・。

よろしくお願いします。