知り合いから「障害者って男でも女性専用車両に乗れるんでしょ?いいよなあ」と言われた。これは断固違うと主張しておいたので、その具体的な内容について無駄に書いておくことにしよう。

障害者であっても男が女性専用車両に乗ってしまうと、次のような事象が発生する。結構高い確率で。

第1に、頭の悪そうな女子高生に「名にあいつ、きもくない?」とささやかれる。そいつらはたぶん頭が悪い。勉強はできても頭は悪いだろう。知性がないという意味においてだ。それはいいとして、馬鹿な女子高生でなくとも、女性専用車両だというのに男が乗っていれば、普通気持ち悪い。それは障害者うんぬんは関係ない、と思うのは自然なことだろう。まぁ、口にするか否かという点で若干差はありますが・・・。で、気のせいかもしれんが、そういうオーラをひしひしと感じる訳である、男の身で女性専用車両に乗ってしまうと。

第2に、駅員に「お客様、ここは女性専用車両です、降りて下さい!」と大声でどなられる。この事象は、視覚障害者に限っていうと、 (1)白杖を駅員の死角となる位置で持っているか、または折りたたんでいる (2)女性専用車両の位置に駅員が立っている駅に電車が停車する という、わりと頻繁に満たされてしまう条件の下で発生する。ちなみに「白杖が駅員の死角となる位置」と抽象的に書いたけれども、要するに、例えば進行方向から見て自分が右向きに立っているとき、普通なら白杖を胸の前辺りで構えていて、そこで進行方向左側のドアが開いたような場合である。そうすると、駅員から見て白杖が自分の身体に隠れてしまう。駅員にどなられたら、もう降りるしかない。それでも乗っていられるなら、その人は堂々と白杖を見せびらかして障害者ぶりをアピールしつつ、女性専用車両を常用すべきだ。

というわけで、障害者という理由で女性専用車両に乗れることに対しては、特にメリットはない。コロンの香りが充満しているわけでもなければ、目が見えないからと言って痴漢OKなわけでもない。いや、痴漢は犯罪です!やめて下さい。ときどき全盲だからといって女性の胸を触ったりする変なおじさんがいますので、ご注意を。変なおじさんはテレビだけの存在ではないのだ。

さて、以上のような事情から、俺自身意図的に女性専用車両に乗ることはないのだが、不慮の事故というのは、不慮の事故であるからして、起きるときには起きてしまうのである。俺は3回、その事故に遭遇してしまった。

1回目は、普段利用しない電車を通勤時間帯に利用したとき。ホームの階段を下りきったとたんに電車が入線してきて、あわてて乗った車両が女性専用車両だった。それはたまたま明らかに戦闘車両に乗ったことと、車内アナウンスで「戦闘車両は女性専用です」と言っていたので気づいたのだ。次の駅で一度降りて隣の車両に乗り移ろうとしたが失敗。それを見ていた駅員に「障害者の方は女性専用車両でもご利用頂けますので、遠慮なさらなくても結構ですよ」的なことを言われたが、いや、遠慮します。

2回目は普段通勤に使っている路線。朝の糞忙しいときに渋谷でうんこしていたら、予定の電車に乗り遅れそうになったので、おそるおそる駆け込み乗車したらそこが女性専用車両だった。このとき、頭の悪そうな女子高生にののしられ、駅員にどなられた。

3回目も通勤に使っている路線なのだが、少し事情が違う。たまたま親切な女性が改札から電車まで案内してくれたのだが、そこで案内されたのが女性専用車両だった。「いつもどちらの車両をご利用ですか?」と聞かれ「決めてないのでどこでもいいです」と、確かに俺は言った。その女性も、たぶんいつも女性専用車両を使っているから、そのノリで一緒につれてってくれたんだろう。でも、女性専用車両なのだ。私は男です。もちろん、駅員にどなられた。

こうして、実際に女性専用車両に乗ってことがあるものの、何も良い経験なんぞしたことがない俺としては、「障害者は女性専用車両に乗れていいなぁ」などという、全く持って意味不明な妄想は断固として否定したいのである。あんな息苦しい場所、乗るもんじゃない。

そういえば、ちゃーんと過去に体験を文章化していたではないか。俺もつくづく暇な人間だ。ここここを参照。