全盲が登場する作品は数多く存在する。「君が望む永遠」とか。「るろうに剣心」にも、盲剣のなんちゃらというのがいたし、剣心も一時期見えなくなった。

もっとも、こうした作品に登場する全盲というのは超人なわけだが。目が見えないからって、心臓の鼓動や筋肉の収縮する音が聞こえるほど聴覚が発達することはないし、普通の人みたいには歩けない(例外はある)。

まぁ漫画やアニメの中ではしかたないとしても、ドラマで全盲を演じる場合にはリアリティが必要である。そのため普通の演技ではいけない。真の全盲を演じるには次のような振る舞いをしなければならない。

  • 人と話すときに自分から目を合わせてはいけない。目が見えないのだから自発的に目を合わせるのは無理である。しかも、相手が目を見てきたからといってそのままでもおかしい。たいてい全盲は焦点があってない感じになるから、1点を見据えるとかいう目の動きは難しいのだ。
  • 会話のときにジェスチャーをほとんどしない。全盲にとってジェスチャーによる表現は意味をなさないので、たいていの全盲はジェスチャーの替わりに声色を使って話をする。ただ、後天性の全盲だったりするとジェスチャーを織り交ぜる場合があるので、設定によって判断する。
  • 外では白い杖を持ち、振るようにして歩く。ただこれは練習しないと難しいかもしれない。そして、人や物を避けて歩いてはいけない。避けるのは対向者の方である。また、物にぶつかるときは思い切りぶつからねばならない。そこに物があると知らないからぶつかるのである。知っていてぶつかるような生優しいぶつかりかたではだめだ。ときには自転車を倒したり、車止めにすねをぶつけたりもしなければならないだろう。
  • 室内などでは、慣れている場所はそれなりに普通に歩き、狭い場所や慣れていないところではおそるおそる歩く。ドアに向かう際など、極めて正確にドアにたどりつくのは不自然なので、ややドアからはずれた位置で壁にぶつかり、手探りでドアノブを探すような講堂をするべきである。また、ときどき物にぶつかりながら歩かなければならない。
  • 階段は普通に上り下りする。よく勘違いされているが、全盲でも階段は普通に利用できる。むしろエスカレーターやエレベーターよりよっぽど安全で使いやすいと俺は思っている。お寺の階段のように不規則な場所はともかく、一般的に整備された階段であれば駆け下りたり駆け上ったりしてもかまわない。少なくとも、駅の改札を入って階段を下りようとしたら電車が入線してきたとき、俺は駆け下りる。たいてい周りも走っているからそういうときは比較的安全なのである。余談だが、駆け込み乗車も場合によってはして良い。ただしおそるおそる駆け込み乗車しなければならない。たぶん究極に難しいだろう。
  • ちょっと気持ち悪いが、全盲を極めるならあちこち触りまくらなければならない。お店の棚に並んでいる商品、人の身体、その辺に置いてあるもの。聴覚では得られない情報を得るために触覚を利用する人も多いのだ。ただし、気持ち悪いので、演技でやるときはやらないでください。女の子に対して「君髪長いんだね」とか全盲は普通言ってはいけないのだ。だから、この点に関しては極めてはいけない。

これからドラマで全盲の役をやる俳優には、是非これらを守っていただきたいと思います。


ところで、コードギアスにだってナナリーが出てる。彼女は目が見えない上に車いすだ。車いすはどうでもいいが、目の見えないナナリーが出てるんだから、目が見えなくても状況がもっと分かるように作って欲しい。小説を読むというのはいつもの手であるから、アニメを見るだけで普通の人と同じ状況が伝わってくるのが望ましい。

俺的には、DVDに普通のオーディオコメンタリーとは別に、ユカナが場面解説をしてくれてる音声を入れてくれればそれでいいのだが。名塚織でもいいけれども。そうだよ、ナナリーが解説すりゃいいじゃんね。

今度クランプにメール送っておこう。