NVDAミートアップ東京 2015.1 参加メモ

NVDAミートアップ東京 2015.1に参加してきました。自分が関わった部分だけですがメモを残しておきます。
なお、不正確だったり間違っている点がありましたら、コメントなどでお知らせ頂けるとうれしいです。

講演「2015年のNVDAとWindows環境

NVDA日本語チーム代表の西本さんが講演されました。スライドは以下に掲載されています。

2015年のNVDAとWindows環境

内容の概略

  • まずはユーザー数の話。数え方は割愛しますが、NVDA日本語版のユーザー数はだいたい600人前後だそうです。昨年の4月ごろに伺ったときは400名前後ということだったので、だいぶ増えた印象です。ただし、数え方の関係で「隠れユーザー」がいるかもしれないとのこと。

  • 今年のリリースサイクルは、2014年と同じく 2015.1~2015.4 になる見込み。現在2015.1のリリースに向けて翻訳作業中。

  • 2015.1の新機能紹介(Word / Outlookでのブラウズモード追加、句読点辞書/フォネティック読みの仕様変更、内部的のPythonバージョンの変更など)
  • 「NV Access」の動向やNVDAを取り巻く音声エンジンやアドオンなどのツールの紹介。
  • Microsoftの動きと新Windowsのリリースサイクルを考慮すると、OSバージョンごとにスクリーンリーダーを作り込むのは困難になってくるだろうという話。

感想

NVDA2015.1の新機能はいくつかありますが、スライドで初めに紹介されているように、 Microsoft Word / Outlook でブラウズモードが利用できるようになることはインパクトが結構強いと思います。操作方法の一貫性が向上しますし、文章を読むときにブラウズモードが使えると大変効率的です。特にWordの場合、他のスクリーンリーダー(例えばJAWS)では、クイックキーという形で類似機能が搭載されていて、私は職場でこの機能をよく使うので、NVDAでも利用できるのは便利です。

アドオンについて、個人的には「NVDA Remote Access」の構想が気になります。どうやらJAWSの「JAWSタンデム」みたいな感じのようですが、「オフィスやデータセンターの作業をリモートから実施できる」というようなこともスライドには書かれているので、職場での活用が期待されます。私の職場ではセキュリティポリシーの都合で使えないかもしれないですが、自宅のPC管理や他者のサポートは格段にやりやすくなりそうです。

アンカンファレンス1枠目「NVDAをメインのスクリーンリーダーにするには」

NVDAをメインのスクリーンリーダーで使いたいと考えている人は多いけれど、いろいろな理由で乗り換えられない人がいるだろうということで意見交換しました。だいたい次のようなことが話し合われたと記憶しています。

読み上げがうるさい件

  • ブラウザでWebページを閲覧しているときに「テーブルの何列目」というような音声があって聞きづらいが、どうにかできないか?
  • ∵ これはNVDAの「書式設定画面」から読み上げる情報を変更できる。

フリーソフトインストール時の不具合の件

  • PC-Talkerを使っているとフリーソフトなどのインストール時にPC-Talkerを終了させないと先に進まないことがあるが、NVDAではどうか?
  • ∵ ほとんどの人はNVDAでそのような事象に遭遇したことはない。

文章編集中の移動の件

  • 文章編集中に、単語や段落などの単位で移動したいが、NVDAでは可能か?
  • ∵ 単語単位で移動するコマンドはあるが、日本語では実用的でない。テキストエディタやワープロソフトの機能として存在すれば、利用できると思われる。 Microsoft Word の場合、 Ctrl+左右カーソルキーで単語単位での移動が可能で、読み上げもされる。

テキストエディタの件

  • 良いテキストエディタはないか?
  • ∵ メモ帳やNotepad++が対応している。その他のテキストエディタの対応状況はあまりよくない。Wordや Open Office を使うのも手かもしれない。

テキストエディタ問題

どこに行っても、「NVDAで使いやすいテキストエディタ」は問題になるようです。私も秀丸エディタ、EmEditor、MIFES、サクラエディタ、TeraPad、Sublimeなど、有名どころは試しましたが、なかなかいいものがないですね。

ちなみにEclipseのコードエディタは素晴らしい読み上げ対応だと職場ではよく感じますが、コードを書かない人がEclipseを使うのはちょっと・・・っていう感じですし、私も文章書くのにEclipseは使いたくありません。

「最近のEmacsが読み上げできる」といううわさもありますが、未検証なので、これからも引き続きテキストエディタについては調べていく必要がありそうです。

アンカンファレンス2枠目「本家チケットの書き方」

バグレポートを本家のコミュニティサイトへチケットとして登録する方法を解説頂きました。コミュニティサイトは以下です。

NVDA Community

アカウントの作成

チケットを投稿するにはアカウント作成が必要です。アカウント作成時、キャプッチャ(画像認証)の代わりに、NVDAを開発している会社の名前を入力する欄があります。答えはアカウント作成ページ内に書かれていて、「スペースの有無」に注意することがポイント。

投稿の基本

チケットを実際に投稿するときは、ある程度決められた書式で書く部分と、フリーで書く部分があります。

事象、実行環境、再現手順など、書かなければならない項目は一般的なシステム開発の場合と同様です。ただ、書式フリーの部分に書くようなので、書き方は工夫した方が良さそうです(箇条書きにするなど)。

投稿されたチケットに対して、バグの種類や内容に応じて、本家開発サイドで優先度やマイルストーン、作業者などを決定するとのこと。これに基づき、実際の対応が行われるとのことで、本家サイドで「優先度低」と判断されれば後回しになっていく模様。

あと「キーワード」という項目を入力できて、ここには「good for new commer」(新人開発者にやらせるのがいい)とか「good for sighted user」(目の見えるユーザーが良い)などのコメントを書いたりするそうです。

運用

最後に「チケット投稿の運用」について聞いてみました。

現在は、バグっぽい事象があったら、まず日本語チームのチケットで議論して、本家版でも再現するバグは本家チケットとして投稿しているそうです。なので、基本的にダイレクトに本家チケットを投稿することはほとんど無くて、今後もこのような運用でやっていくのが良いのではないか、ということでした。この方針は、NVDA日本語版が、本家NVDAをフォークしているため、日本語版のみで発生する事象は日本語チームで解決すべきだというポリシーに基づいているとのこと。

苦労話

ちなみに、本家チケットは当然英語で投稿することになります。そこで結構大変なのが、アプリケーションの部品名を日本語→英語へ直すことのようです。例えば、Outlookの「予定」は英語版だと「appointment(だったかな?)」になってたりすることですね。そういう意味では、Windows8.1とか最近のOfficeは、言語パックを入れれば簡単に多言語化できるので、再現テストには向いているかもしれないというお話でした。

アンカンファレンス3枠目「職場のNVDA」

僭越ながら私がアンカンファレンス・オーナーをやらせて頂きました。ぜんぜん纏まりのない話し合いになってしまって申し訳ないなあと思いつつ、いろいろ良いお話も聞けました。

職場でNVDAを使っている方の話

まず、なんらかの形でNVDAを職場で使っている人は6割程度。これからの活用を考えていらっしゃる方もそれなりにいらっしゃいました。

メインでNVDAを使ってらっしゃる方は、WordやExcelで作業するにはほとんど問題ないとおっしゃっていました。ただ、Excelのマクロボタン※ はNVDAで操作できないので、別のスクリーンリーダーを使うそうです。

※「マクロボタン」とは、おそらくExcelシートにOLEコントロールオブジェクトがペタっと張り付いていて、それをクリックするとマクロが動くという仕掛けのものだと思われます。勝手な推測。

NVDAユーザーの中には、Web閲覧の補助に利用してらっしゃるという方もいました。その方は晴眼者だったのですが、「書いた文章を構成するときに、音声で聞いて分かりやすいものになっているかどうか確認している」ということでした。文字で読むときとは違い、音声で聞くと文章を記憶しなければならないので、音声で聞いて頭に入らない文章は分かりにくいだろうというお考えのようです。この使い方は目から鱗でした。私は「音声で聞くより点字で読む方が頭に残りやすい」と思っているので、「音声で聞いて分かりにくければ文章構成の余地がある」というのは素直に納得できました。

雇用促進の観点

「視覚障害社の雇用」という観点では、次のような意見もありました。

  • 支援機器にお金がかかるし助成金の手続きも複雑だからという理由で、視覚障害社の雇用を見送る企業も多いのではないか。
  • 従ってコストがかからないNVDAの役割は重要である。

また、参加者の実体験として、急に就職が決まった際、有料スクリーンリーダーを購入するとなると時間がかかるが、NVDAならすぐに導入できるので、入社までの期間が短くて済むし、入社したものの道具がそろわなくて仕事ができないという事態も避けられるというお話もありました。

このような話題は私もときどき考えることがあります。導入のハードルが低くなれば、その分、就職できる確率も上がるでしょうから、そういった意味でNVDAがもっと浸透すればいいなあという感じですね。

纏め

纏める時間はほとんどありませんでしたが、仕事でもNVDAは十分有用であるということが確かめられて良かったと思います。

他のアンカンファレンス

私が参加しなかったアンカンファレンスには、次のようなものがあったと記憶しています。会場ではホワイトボードかプロジェクターにささっと書き込まれていたようなのですが、確認できなかったのでタイトルは適当です。

  • コミュニティの活動について
  • 翻訳作業のデモンストレーション
  • NVDAの教材作り(デメキンテキスト関連?)
  • NVDAワールドのスタッフ募集
  • アクセシビリティについて
  • NVDAと関連アプリケーションの開発について

個人的には開発の話も聞きたかったですが、同じ枠でオーナーをやっていたので残念でした。

全体の感想

アンカンファレンス形式のイベントには初めて参加したので、とても新鮮な気持ちでお話を聞くことができ、良かったと思っています。自分自身があまり良いオーナーになれなかったのが残念なので、これからファシリテーションの勉強もしてみたいなあとも思いました。

あと、Webやソーシャルメディアでお名前をよく見かける方も参加していらっしゃったので、それもまた良かったですね。

運営の方法については、いくつか気になる点がありました。後ほど主催者にはフィードバックしたいと考えていますが、次のことは少し検討した方が良いかもしれません。

・衝立の設置

オープンスペースを4分割してやっていたので、別のグループの声で自グループの議論に集中できなかったり、デモンストレーションでは音声が聞き取りにくいと思うことがありました。

衝立を設置するなどして、自グループに集中できる環境も必要ではないかと考えます(もっとも、そうすると「気ふぁる差」というのが低下する気がするので難しいところですね。隣から漏れ聞こえてきた議論が面白そうだからそっちへ行く、ということもあるでしょうし・・・)。

・内容の共有

面白そうな枠が同時に複数あるとき、参加しなかった方がどういう話になっていたのかとても気になりました。全部にちょくちょく顔を出せばいいのですが、それだとなかなか全体像を把握できないですし、また、自分がオーナーだったりすると途中で抜けるのは難しいので・・・。

最後の5分は各グループから要点を発表してもらう時間にするのも良いのではないでしょうか。そうすると、グループ間で情報共有できますから、「その話うちでもしてた。ちょっと、次の枠で一緒に議論しませんか?」というようにテーマを考えるときの幅も広がりそうです。

実際、2枠目の「NVDAをメインのスクリーンリーダーにするには」と「教材作り」は、共通する話題もあったようです(漏れ聞いただけなので詳細は分かりませんが)。

最後に

本イベントの主催者及び参加者の皆様、お疲れ様でした。そして、有意義な時間を有り難うございました。

今後もNVDAミートアップは企画されるようですので、可能な限り参加させて頂き、勉強したいと思います。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です