はじめに~四方山話~
NASやルータなど、ネットワーク機器を購入する際、スクリーンリーダーユーザーが気にすることは「設定画面が操作できるのか?」ということではないでしょうか。スペックは書いてありますが、UIがアクセシブルかどうかは使ってみないと分かりません。
今回、自宅NASを入れ替えたわけですが、新しい機種をどれにするか迷ったとき、性能よりもまず、スクリーンリーダーでセットアップや設定ができるかがポイントでした。
そして、どれにしようか考えていたとき、、Synologyが、同社のNASキットのシリーズである DiskStation として、DS1517+とかDS1817+などの機種を発表しました。SynologyのNASっていろいろできるんだなあと思い、アクセシビリティについても調べていたところ、なんとか大丈夫そうだという情報をみつけ、今回導入に踏み切りました。
本記事ではスクリーンリーダーで操作することを前提として、 Synology DiskStationのレビューをしていきます。
ちなみに、本文の前に結論を書くと。。。
DiskStationにインストールする管理ソフトは、NVDAとFirefoxの組み合わせで使えます。購入を迷っている方は、先に購入しちゃって、以下の記事を読んでもOKですよ!!
今回紹介するもの
2台購入しました。
- Synology DS916+
- Synology DS416Play
一方をメインとして使い、盲一方はバックアップ用途です。DS1517とかDS1817はオーバースペックなので買いませんでした。
スペック上は、DS916+が上位モデル、DS416Playが下位モデルとなっていますが、どちらも4ベイです。DS916+のCPUはQuadコア、メモリは8GBもしくあ2GBを選択可能なのに大使、DS416PlayはCPUがDualコアでメモリが1GBです。ただしDS416Playには、4K動画のハードウェアトランスコードが付いています。マルチメディア系の処理を考えるとトランスコーダがあった方がいいかと思ってこちらにしたんですが、結果的に、私にとってハードウェアトランスコードは不要でした。
それから、後ほど触れますが、パッケージ(追加機能のようなもの)についても、インストールできるものとできないものがあります。基本的に上位モデルであれば、ほとんどのパッケージがインストールでき、下位モデルであればインストールできないパッケージもある、ということです。
【DiskStation DS916+の情報】
【DiskStation DS416Playの情報】
ちなみに、ハードウェアトランスコードを省いて、価格も安い「DS416J」というのもあります。
【DiskStation DS416Jの情報】
さて、DiskStationはNASキットです。つまり、ハードディスクは別売りなのです。「初心者でもOK」というような文句をネットでは良く見かけますが、まあ組み立てる方式はプラモデルとほとんど変わらないものの、どのハードディスクを選ぶか??といったところは、一応考える必要があります。
私はAmazonで販売していた以下のハードディスクを、各DiskStationに4台ずつ、合計8台購入しました。
機種選定の理由は、保証期間がまあまあだったというだけです。NAS用途に使うハードディスクであれば、もっと堅牢なものも選択肢として考えられるのですが、ビジネス上の機密情報を扱うわけでもないので、これぐらいの製品で十分でしょう。
なお、対応しているハードディスクの情報を Synology が公開しています。上記以外のハードディスクを買うときには、互換性リストを参考にして決めるとよいでしょう。
ところで、各DiskStationに4台ずつハードディスクを付けるわけですが、構成としてはRAID5に類似したファイルシステムを使う前提です(正確には「SHR」といって、Synologyが開発したRAIDより信頼性があるファイルシステムだそうです)。ちなみに、RAID6も選べますし、もっと堅牢な「SHR-2」というのも、選択肢としては存在します。
組み立て
では、DiskStationとハードディスクが手元にそろったとして、まずは組み立て方を説明します。
今回はDS916+とDS416Playを買ったのですが、どちらも同じ組み立て方だったので、まとめて説明します。
箱から出して内容物を確認する
まず、箱から物を出してください。ACアダプタとか、電源ケーブルとかが箱の上部に入っています。LANケーブルも2本入っています。その下に、本体が入っています。慎重に取り出してください。
本体は、ぱっと触ってみると、立方体のような形をしています。最初は袋に包まれているので、その袋を外しましょう。
本体を取り出すと、前面にカバーがあるのが分かるでしょう。このカバーを取り外して、ハードディスクを設置していくわけですが…。
変わったことに、このカバー、ゴム足がストッパーになっています。本体を正面に見て、左側に若干カバーがカーブしているのですが、ネジで留まっているのではなくて、ゴム足なのです。なので、最初は戸惑うかもしれません。あとあと、いじっていると、この「ゴム足でカバーをするのは意外と合理的」だと思うようになるかもしれません。
ハードディスクの装着
さて、後でカバーを付けるときのために向きを覚えて起きつつ、本体前面のカバーを外してください。すると、縦に四つの線のようなもの、あるいは取っ手のような物が確認できるはずです。これらがハードディスクを格納するカートリッジです。
カートリッジの上側に、スイッチというか、爪のような物があります。これを上にあげながらカートリッジを手前に引くと、カートリッジが本体から外れます。このカートリッジにハードディスクを設置します。
ハードディスクは、3.5インチの場合、ネジレスで取り付け可能です。設置するときは、カートリッジの取っ手とは逆側に、ハードディスクの端子類がくるように取り付けてください。カートリッジ左右のレールを少し浮かせた状態でハードディスクをはめると、はまりやすいです。
ちなみに、ネジが付属していたと思いますが、こちらは2.5インチのHDDとかSSDを取り付けるためのもので、3.5インチのハードディスクを使う場合は不要です。SSDキャッシュとか必要なら、まあ、いるんでしょうけど…。
ハードディスクをカートリッジに取り付けたら、カートリッジを本体に指します。外したときと同じ向きで、「カチ」っという音がするまで差し込んでください。
上記の作業を、取り付けるハードディスクの台数分、繰り返してください。
ハードディスクを全部取り付け終わったら、最初に外したカバーを、取り外したときと同じ向きに付けます。ゴム足なのでちょっと慣れないかもしれませんが、上下左右に隙間が無くなればOKです。
ここまで完了すれば、組み立ては完了です。
DiskStation の各種接続について
DS916+ と DS416Play に共通ですので、まとめて書きます。
DiskStation はNASです。ですので、組み立てが終わったら、ルータのようなネットワーク機器および電源と接続しなければなりません。
本体背面に、LAN端子と電源端子があります。
LAN端子は二つ付いていますが、いずれも一般的なインターネットのケーブル端子(RJ45)です。負荷分散とかリンクアグリゲーションのために二つ付いているのですが、1つ繋げば問題ありません。背面を正面に見て左側の端子にLANケーブルを挿して、もう一方をルータなどのネットワーク機器に接続してください。
一方、電源についてはちょっと分かりにくいので解説します。
本体背面を正面に見ると、LAN端子の左側に、若干ザラザラした部分があるかと思います。ここが電源端子です。触り心地が少し違うだけで、へこんでいたり、飛び出ていたりするわけではないので、ちょっと分かりにくいです。
これを確認した後、ACアダプタを見てもらうと、コンセントと逆側、つまりNASに接続する側の端子は、丸みを帯びつつ、ある一方が平らになっていることが確認できると思います。この平らな面を、右向き(つまりLAN端子の方向)に向けて、電源端子に差し込んでください。念のため慎重に差し込むことをお勧めします。
なんだか深めに刺さって、軽い力で引っ張っただけでは外れない状態になっていれば、接続はOK です。そうでなければ、一度ACアダプタを外して、慎重に向きを確認しながら、再度接続を試みてください。
ここまで完了したら、ACアダプタのコンセント側のプラグを接続してください。
管理ソフト(DSM)のインストール
さて、組み立てと接続が終わったら、いよいよNASとして動作させるための作業を行います。
多くのNASと同様に、 DiskStation もブラウザを使って管理を行います。
組み立てが終わった時点では、 DiskStation は空っぽの状態です。そこで、ブラウザを使って、カンリソフトをインストールする必要があります。
ちなみに、カンリソフトのことを「DSM」(DiskStation Manager)と呼びます。以下、本記事でもこの呼称を使用します。
さて、スクリーンリーダーのことを、ここで改めて記載する必要がありますね。
DSMは、インストールおよび操作について、NVDAとFirefoxの組み合わせを推奨しています。ですので、本記事でも NVDA+Firefox の組み合わせで操作する前提で話を進めます。
動作を確認したのは、 NVDA2017.2JP と、 Firefox53 です。
DiskStation の起動
DiskStation の電源を入れるには、本体前面の右下にある、正方形に近いボタンを押します。普通に押し込むと、ウイーンという音がして、本体が起動することが確認できます。
本体が起動したら、「ピー」というビープ音がします。
インストールする DiskStation を探す
DiskStation を起動したら、まずはDSMをインストールする必要があります。しかし、インストールするためには、どうにかして、ブラウザからDiskStationにアクセスしなければなりません。
そのために、find.synology.com にアクセスします。すると、LAN内に接続されている DiskStation を検出して、表示してくれます。
私が今回用意した環境の場合、 DS916+ と DS416Play の2機種がLAN内に存在していることになります。そのため、 find.synology.com の画面にも、2台の DiskStation が表示されました。
どちらからインストールを始めても良いですし、もしくは、1台しかネットワークに存在しないときは直接インストール画面が表示されるのかもしれませんが、とりあえず、最初は DS916+ にカーソルを合わせてエンターキーを押しました。すると、インストール画面にリダイレクトされます。
DSMのインストール
DSMのインストールは、基本的に画面の指示通り行えばOKです。操作も、普通のWebページを使うのと同じような感覚で操作できます。
ただ、注意すべき点もあります。
- インストールの確認やデータ消去に関する確認ダイアログ)?)など、ポップアップするのではなく、画面下部に現れることもあるので、注意が必要。
- 見た目ではチェックボックスなのかもしれないが、「チェックボックス」とは読まず、ブラウズモードで「クリック可能属性」としか認識されないことがあるので注意が必要。具体的には、DSMのインストール確認のところで、「これらのハードディスクに保管されているすべてのデータが削除されることを理解しました。」という文言があって、ここで一度エンターキーを押してからOKを押さないと、インストールが始まらない。
上記の操作がうまくできて、インストールが始まると、フォーマットやダウンロード、インストールなどの進行状況を確認することができます。いずれも、NVDAのブラウズモードで、上下カーソルキーを使って行うことができます。
また、何らかの問題が発生した場合の対処方法について、同じ画面内に記載がありますので、進行状況の確認と合わせてお読みになることをお勧めします。
DSMのインストールにはおよそ10分程度の時間がかかります。今回は4TBのHDDを4台接続した状態でカウントしていますので、HDDのサイズや台数によって変化するかもしれません。
※ちなみに、DS916+でもDS416Playでも、大きな差はありませんでした。
インストール中、途中で一度再起動します。再起動後は、DSMがインストールされ、起動している状態となっており、こうなればインストールは完了です。
初期設定
インストール完了後は、いくつか初期設定を行います。このときは、すでにDSMが稼働している状態になっているので、普通のインターネットWebサイトを閲覧するのとは、若干違う操作感になります。
DSMは基本的にフォーカスモードで使うように設計されています。原則はフォーカスモードにして、Tabキーで項目移動、エンターキーでボタンのクリックという操作を行うことになります。これらだけでは分からない操作については、ブラウズモードに切り替えて読み進めて行くことになります。
ちなみに、「次へ」などのボタンを押して画面が切り替わると、たいていはフォーカスモードになりますのでご注意を。
初期設定では、始めにサーバー名や管理者アカウントの設定を行います。この画面は、ブラウズモードで画面に書かれた説明を確認しつつ、入力が必要なときはフォーカスモードに切り替えればOK です。
次の画面では、アップデートをどうするとか、ハードディスクのヘルスチェックをどうするだとかを設定します きほんてきにはデフォルトでOKだと思います。
ちなみに私の場合、「DSM重要なアップデートを自動でインストールする」にチェックして、スケジュールはデフォルトのままにしました。DSMを自動アップデートする設定もあるのですが、これはメジャーバージョンアップを意味しており、気づかない間に様々な変更が発生していて、運用に支障をきたす恐れがあります。なので、重要な更新(パッチなど)のみを自動更新するようにしました。
次は QuickConnect の設定です。外出先から DiskStation に簡単にアクセスできるようにするための設定になりますので、必要な方は、登録を行ってください。なお、入力するだけならフォーカスモードでOKですが、細かい説明を確認したいばあいは、ブラウズモードで読み進めた方がいいでしょう。
なお、画面下部には、この手順をスキップするボタンもあります。QuickConnect を利用しないならば、この手順はスキップしましょう。
つづいて、クイックツアーへの案内があって、一通り読んだら設定できるようになります。クイックツアーでは、使い方に関するアドバイスがいろいろ表示されます。次に進むには案内文でエンターキーを押します(クリッカブルになっているため)。
クイックツアーが終わると、ヘルプ画面になります。「DSMを始める」をクリックして、一通り読んでみることをお勧めします。この画面はブラウズモードを使って読むと簡単です。
※初期設定に関する注意点
DS416Playの場合、初期設定中に、推奨パッケージをインストールするように促される画面が表示されます。便利な機能をまとめて追加できる画面ではあるのですが、後述するように「パッケージ」は少々扱いにくい側面があります。なので、このような画面が表示されても、スキップしてパッケージはインストールしないことをお勧めします。
また、特に操作はしていませんが、SHRボリュームが作成されており、とりあえず管理者アカウントがあればNASを使える状態になりました。
一方、DS916+の場合、初期設定中に推奨パッケージをインストールするように促される画面は表示されません。
また、初期設定が完了しただけでは、ボリュームは作成されておらず、「ストレージセンター」から手動でボリュームを作成しなければなりません。ボリュームを作成して、やっとNASとして利用できます。
こういった点を踏まえると、初心者に優しいのは、 DS416 系列の機種ということになりそうです。
DSMの使い方
初期設定が終わり、ヘルプ画面も閉じると、DSM(DiskStation Manager)の画面になります。
ブラウザでの操作にはなりますが、見た目はWindowsとかLINUXのGUI画面のような見た目だそうです。ただ、そういった点はスクリーンリーダーユーザーには、あまり関係ありません。
先ほども簡単に触れましたが、DSMを NVDA+Firefox で使う場合、フォーカスモードで操作することが基本となります。フォーカスモードではよく分からない場合は、ブラウズモードに切り替えて、文章を読んでいく形です。
DSMの操作を行う場合、主に必要となるのは、ツリービュー、リストビュー、テーブルの操作になります。それら以外の項目も含め、項目の間を移動するには、フォーカスモードで Tabキー または Shift+Tabキー を使用します。
ツリービューでは、Windowsのツリービューと同様、上下カーソルキーで浅いレベルの項目を移動し、右カーソルキーでネストされたレベルを開く・・・といった操作になります。ただし、 Homeキーや Endキーで、ツリービューの先頭や末尾に移動することはできません。
リストビューは、上下カーソルキーで項目を移動していくだけです。リストビューで選択した項目に対して、関連するボタンが活性化するといったような振る舞いになります(例えば、共有フォルダをリストビューで選択すると、「削除ボタン」が押せるようになる、といった具合)。
テーブルについては、ちょっと複雑です。
Tabキーでテーブルにさしかかると、まずは見出しの行にフォーカスが当たります。ここで左右カーソルキーを押すと、列を移動でき、どんな列があるのか確認できます。
続いて、もう一度Tabキーを押すと、テーブル本体に入ります。左右カーソルキーで各列の情報を読み上げ、上下カーソルキーでレコードを移動できます。
DSMを操作するのに必要な知識はこんなところです。
くどいようですが、
- 基本はフォーカスモード
- フォーカスモードじゃ分からないときはブラウズモードで読む
- ツリービュー、リストビュー、テーブルはフォーカスモードで操作
というのが原則です。
一言で言えば、Firefoxを使うけれど、じっさいは「フォーカスモードでネイティブアプリを使う感覚」というのが一番近いかもしれません。
この辺りを実感していただけるサイトがあります。
上記サイトの「無料で試していただけます」というクリッカブルな文をクリックすると、DSMを試してみることができます。上述の内容が正しいかどうか、あるいは、もっと工夫が必要なのか、確認していただくことができますので、 DiskStation の購入前に、一度アクセスしてみてください。
【例】 コントロールパネル
例として、コントロールパネルを使うまでの流れを書いてみます。
まず、DSMの画面を開きます。最初はデスクトップが開きます。
ここでNVDAをフォーカスモードに切り替えます。
続いてTabキーを何度か押して、「メインメニュー」と読むところに移動し、エンターキーを押します。そうすると、DSMで実行できる様々なメニューが表示されます。
ここで、一度Tabキーを押し、続けてShift+Tabキーを押してください。その後、上下カーソルキーで開いたメニューを移動することができます。
メニューから「コントロールパネル」を選んで、エンターキーを押します。するとコントロールパネルが表示されます。
フォーカスモードに切り替えてからTabキーを押していくと、ツリービューがあります。ここが、コントロールパネルで、様々な設定を行うための場所になっています。
ちなみに、途中に検索エディットがあって、勝手にフォーカスモードとブラウズモードが切り替わったりしますが、とにかく、フォーカスモードに戻してから操作を実施してください。
コントロールパネルのツリービューで項目を選択すると、直接設定項目にフォーカスする場合と、タブシートに項目移動する場合があります。Firefox ユーザーでしたら、慣れているインタフェースでしょう。
共有フォルダの設定には、リストビューが含まれていますし、ユーザーの設定にはテーブルが含まれていますので、操作練習にはちょうどいいでしょう。
注意点と問題
DSMは、スクリーンリーダー(NVDA+Firefox)で使えると書いてきました。共有フォルダの作成、ユーザの管理、ネットワーク関連設定など、必要な設定は、すべてコントロールパネルから行うことができます。
しかし、DSMが保証しているアクセシビリティは、あくまでもDSMの機能に限ったことです。パッケージといった追加機能、およびパッケージを管理するパッケージセンター、およびサポートセンターなどの機能では、一部アクセシビリティが確保されていないことがあります。
パッケージセンター
パッケージセンターは、DSMに最初から組み込まれている機能で、ApacheとかDNSサーバ、バックアップ機能などを簡単にインストール・管理できるものです。
パッケージセンターについては、パッケージのインストールをスクリーンリーダー環境で行うことはあまり問題ないのですが…。パッケージを呈しさせたり、いらないものを削除するときに、うまく操作できません。
一応、オブジェクトナビゲーションで画面をたどっていき、「リスト」と読むところで、下位の階層に入って再びオブジェクトナビゲーションを使うと、インストールされているパッケージを確認できます。しかし、なんらかの理由で捜査中にフォーカスが外れてしまったりして、うまいこと管理作業が行えません。パッケージをマウスの左クリックさえできれば、削除や停止のオプションも選択できるのですが、肝心なその操作を行おうとすると、ナビゲーターオブジェクトがどこかへ逃げてしまって、うまいこと操作できません。
こういうことがあるので、初期設定のとき、パッケージはインストールしないように推奨していたのです。
また、各パッケージはアクセシビリティの範囲外となっており、使えないパッケージもあります。
私は VideoStation というパッケージを使ってみようと思いましたが、最低限必要な操作がNVDAで実行できず、使用をあきらめました。
パッケージをインストールすると、コントロールパネルの表示がおかしくなる
それでも、いろいろやってみたい方は、膨大なパッケージから、気に入ったものをインストールしたくなるでしょう。
しかし、インストールするパッケージによっては、コントロールパネルのチェックボックスの読み上げが変わってしまうケースがあります。
私が経験したのは、 DS916+ に、 「Active Directory Server」と「DNS Server」をインストールしたときです。
これらのパッケージを開いて設定するときは、やけにクリッカブル属性が多いとかんじましたが、実はそれはチェックボックスでした。
その後、DSMのコントロールパネルで設定を行おうとしたとき、以前は「チェックボックス」ときちんと認識されていたはずの項目が、クリッカブル属性となっていたのです。こうなってしまうことの問題は、チェックのオン/オフが判別できないことです。
幸い、パッケージをアンインストールしたら、元通りチェックボックスとして読み上げられるようになりました。
原因は不明ですが、パッケージの状態によってDSMの操作が変化してしまうことも、考慮に入れておく必要があります。
サポートは英語が迅速
何か不明な点があった場合に、DSMのメインメニューから、サポートセンターを選択すると、サポートに問い合わせることができます。
サポート問い合わせのフォームはスクリーンリーダーで使いにくい面もありますが、それ以上に、「マルチ言語によるサポートには時間がかかる」という問題があります。
Synologyは日本メーカーではありません。ですから、日本語で問い合わせをすると、いろいろ誤解が生じたり、時間がかかります。将来的には拡充していくものとは思いますが。
現在のところ、英語で質問するのが最適です。日本語の質問にはなかなか答えてくれませんが、英語で伝え直すとスムーズにサポートが受けられます。
このように、いろいろな問題を、ある程度自力で解決できる技術を持っている人はともかく、サポートを必要とする人は、英語でのコミュニケーションができた方がいいです。
まとめ
全体的には、今までで一番良いNASをだというのが、僕の印象です。
機能的なところでは、NASなのにVPNサーバ/クライアントなったり、DDNSに対応してたり、RSYNC使えたり、おまけにSSHでいろいろやれる・・・となると、もう、ただのおもちゃと言ってもかごんではありません。
BuffaloやIOのNASは、家庭向け・ビジネス向けとターゲットを分けており、家庭向けには非常に簡単なインタフェースを採用してきました。Synology にもそうした区分はあるんでしょうが、パッケージとして様々な機能を追加できることから、最初の機種選定が、純粋にディスクサイズとマシンスペック、拡張性だけで判断できるのがメリットだと思います。他社製NASですと、使える/使えない機能が最初から決まってて、拡張性がとぼしかったりしますしね。
動作音も静かで、稼働していることを忘れるぐらいです。
もちろん、NASキットということで、単にNASを買うよりはハードル高いですが、多機能なNASをお求めの方には、Synology のNASキットは最適な選択になるでしょう。