冷やし中華にマヨネーズは掛けない、と東京に出てきてから聞いてびっくりしたのである。おかしい。何故だ。お好み焼きにはマヨネーズを掛けるだろう。だったら冷やし中華にもマヨネーズ掛けるだろう。

これが名古屋近辺での文化だということに東京に出てきて気づいたわけだが、どうしてこの文化は広まらないのだろう。まぁ、冷やし中華のたれだけでもうまいのだけれど、そこにマヨネーズを掛けることによってプラスアルファの味わいが産まれるのだ。

この「プラスアルファ」について詳しく解説しよう。まず、冷やし中華のたれとして採用されるものは酸味の強いたれが多い。もちろんおいしいように調整されているのだが、私の味覚ではこれでも少々酸っぱい。そこでマヨネーズを加えるのだ。あくまでも別途マヨネーズを掛けるのである。たれに混ぜてはいけない。それは邪道だ。

たれが麺にからんで冷やし中華の味わいを引き立てるのに大使、マヨネーズは同じように麺にからむのだが、たれの酸味にマヨネーズのまろやかさとこくをプラスした形で冷やし中華に浸透する。

ポイントなのはたれとマヨネーズがからみあった麺だけではない。冷やし中華に欠かせない薄焼き玉子、キュウリ、ハムにマヨネーズは絶妙にマッチするのだ。ハムやキュウリにマヨネーズを掛けて食うとうまいのは周知の事実。であるからして、冷やし中華に具材として入っているハムやキュウリ、ひいては薄焼き玉子にマヨネーズが加わるとおいしくなるというのは自然なことだろう。

どうしてみんな分からないんだろう。たこ焼きにマヨネーズを掛けることには抵抗が無いようなのに、冷やし中華にマヨネーズを掛けるとなると皆あからさまに拒否するのだ。カレーライスにソースを掛けると豪語してたやつに言っても、「お前馬鹿だろう」と言われるし。何がどう違うというんだ!そりゃ、浜松のお好み焼きにたくあんを入れるというのを聞いたときにはショックだったけれど、それより冷やし中華にマヨネーズの方がいくらか普通だと思う。

それにだ、おいしいと俺が主張しているんだから一度ぐらい試してみてもいいと思うのだ。やりもしないうちにまずいと決めつけて、あのおいしさを知らぬまま時を過ごしていくのは非常にもったいない。アレルギーがあるとかなら別だが、下手物でもないんだから食べてみなさいよ。

そういうわけで、俺は冷やし中華にマヨネーズを掛ける文化を、攻めて俺の周りでだけでも普及させるべく、これからは活動していきたいと思う。以上。