今朝、通勤中の駅で、親切なお方が「どこまで行きますか、一緒に行きますよ」と声をかけてくれたので、お言葉に甘えて途中までつれていってもらったわけであるが・・・。とりあえず、人混みが落ち着いた辺りで「ここからは分かりますので大丈夫です」と言って会社へ向かおうとしたのだが、さらに親切なことに「出口のところまで行きますよ」と言って下さって・・・。

ところが、こういう場面、このようにお気遣い頂くのは、盲人としては有り難いし感謝しなければならないのだが、素直に感謝できない場合もある。例えば、「出口」と言っても、だれもが知っているような大きい出口から、特定のビルに行く人しか使わないような小さい出口まで様々である。そして、小さい出口に行きたいとき、どう説明したら良いか分からないし、説明できたところで援助してくれてる人が分からなくて、あちこち聞き回ってくれてしまうことも、ときどきある。

まさに今日がその場面。私は毎日自分が使う出口だから、道順は分かる。でも、人に説明しようと思っても、出口の名前も分からないし、例えば近くのランドマークを説明しようと思っても分からないし、困ったことになってしまった。声をかけて下さった方も、道順を説明したところで、はっきりとは分からない様子。

このような場合、親切を受け入れて、とりあえず援助者が知ってるところにつれていってもらったりすると、よく分からない出口につれていかれてその後困ってしまうことが多々あるので、最近は慣れた道なら適当なところまで案内をお願いすることにしているわけなのである。しかし、今日のように「いや、行きますよ」とか「暇なので一緒に行きます」と言われることもあるわけで・・・。

まぁ、本音をいうと、正直困る。こちらが「大丈夫です」と言ってるんだから、素直に放置して欲しい。いや、援助してくれようとする気持ちは受け取りたいと思うが、こっちの意志も尊重して欲しいな、と思うわけである。

で、今日はどうしたかというと、親切は受け入れるが私の分かる道を歩いてもらうようお願いをすることとした。でもだめだった。「その道はちょっと込んでますから、別の道で行きましょう」と言われ・・・。結果的には、ぜんぜん知らない出口につれてかれてしまった。まぁ、なんとなく位置関係は予想できる程度の場所だったんだけど・・・。本当に困ってしまった。

結局、会社を目前に「ここはどこ?」状態になって、「ちょっと途方に暮れてみようかな」と思いかけたときに、また別の人に声かけてもらってなんとかなったのであるが・・・。

さて。こういう問題は悩みどころ。むげに断るのも悪いし、だからといって必要以上のヘルプはいらない。せっかく声をかけてくれた人の心を傷つけずに、必要なだけヘルプしてもらうには、どのような言葉が適切なんだろうか・・・。

まぁ、これはもう、どうしようもないから、場面場面で臨機応変に対応していくことしか手はないんだろうが・・・。でも、微妙。

ところで、ぜんぜん別件、というわけでもないが、間違った方向の親切というのも困るものだ。

例えば、駅を歩いていて「どこへ行きますか?」と声をかけられたので私が「どこどこです」と答えたら、「あぁ、そうですか。私は別の方向なので、ちょっと待ってて下さい」と言って、少し離れた場所で「あの方、どこどこまで行くみたいなんですが案内してあげて下さい」と頼む人がいる。あの・・・。すいません。自分でヘルプできないなら声をかけるのは控えて頂けると有り難いのですが・・・。

あと、電車の中で「この方のために席を譲ってあげて下さい」と座っている人に頼んでくれる人もいる。これは、善し悪しは人それぞれかもしれないが、私としては、やらないで欲しい親切の一つである。人に席を譲るよう頼むなら、あなたが捕まっているつり革をお譲り頂きたく・・・。

誤解しないで欲しいのは、親切な行為やお気持ちには感謝していることだ。その親切を適切にぶつけて欲しいのである。従って、ここで私が言いたいのは次の2点。

  • ヘルプされる側の意志や気持ちも尊重して下さい。「援助不要」の意思表示があれば放置してかまいません。まぁ、それでホームから転落して電車に惹かれたりしたら自責の念を抱くかもしれませんが、まぁ、抱かなくてOKです。
  • 自発的、かつ責任取れる範囲の親切を希望します。担当を他社に移転させたり、他人に親切を誘発させる行為はおやめ下さい。

以上。でも、感謝してますよ。昨日の帰りに改札口までつれていってくれた、かわいいOLさん。あれはたぶん13Fの受付の人か、12Fの人だな。あぁ、良い香りだった、でへでへ♪

【追伸】 そういえば、朝駅で声かけてくれたおじいさんが、電車を待ってる間に身の上話をし始めて「あなたはこんなに頑張っているのに、私はぜんぜん頑張ってないんだ・・・」みたいな趣旨のことを言いながら大泣きし始めちゃったことがあったのを思い出した。電車が来たので、泣いてるじいさんを放置して乗車しちゃったけど、あの人今はどうしてるんだろう。たしか、2008年の11月ごろの記事に書いたような気がするが・・・。