子供のころの話。

俺は一人の女の子を好きになった。で、弟にそれを話したら「どんな子?」と聞かれたので、「かわいい子」と返事しておいた。当然それは俺の尺度であり、「かわいい」の基準は声や態度であるわけだ。

それから数ヶ月経って、その女の子のビデオを入手した。厳密には「卒業記念ビデオ」という名目である。

そこには俺が好きだった女の子、メル友だった女の子が映っていた。で、俺が好きだった女の子を見て弟が一言、「ブス」と。そしてメル友だった女の子を見て「こっちの方がいいよ」と。

同じビデオを友達にも見せたら、そいつは「うーん、メルともの方がかわいいな」と一言。俺が好きだった女の子について「ブス」と言わなかったのは、彼のせめてもの配慮だったのかもしれない。

まぁ、こういうことが中学生のころあったわけだが、そこで1つ。

全盲の俺は、好きになった女が世間的には「ブス」というカテゴリに属する可能性はかなりある。一方、世間的にブスな女は、ぶっちゃけ凡人から見向きもされない。

そこで何が起こるかというと、化学結合が起こるのだ。水素イオンと水酸化物イオンがくっついて水分子になるように。

で、そういう結合が発生したときに、水素イオンは水酸化物イオンのことがかわいいと思っているけれど、一般的にその水酸化物イオンは不細工だと、そういうこともある。これは避けられない、運命のような、なんというか、自然の摂理というか・・・。

水分子の場合、電気分解によって水素と酸素にきれいに分離してくれるが、人間同士の結合はそう簡単に分離できない。電気を通したら感電するだけだ。「電気人間」の誕生である。そんなことはどうでもよくて、こう、「ブスなお前とはもうつきあえない」ってのはちょっと、マナー違反だと思うしさ。

で、何が言いたいかというと、「ブスと知らずにつきあっていた女が実はブスだったときにうまく別れる方法」はないものだろうかと。いや、別に今俺がそうだと言っているわけではない。未来に備えてだね、その・・・準備を・・・。

そりゃね、全盲にとっちゃ顔なんて関係ねえよ。重要なのは声と性格。それは揺るぎない事実である。がしかしだ、周りが「お前の彼女ブスだよ」ということを言ってきた場合にだね、そりゃいやじゃん。いくら選べないとは言え不細工な女よりかわいい女の方がいいに決まってる。まぁ、高校時代の元同室者は、友達に「お前の彼女ブス」と言われてもめげずにつきあっていたのだが、そういう図太さを持つべきなのか、そこはあえて「かわいい女子」を求めるのか、悩ましいだろう。

まぁ、本気で好きならブスだろうがなんだろうが変わらないんだろうけど。逆に女から言わせれば、同じことだろう。不細工な男よりかっこいい男とつきあいたいに決まってる。女はそういうもんだ。いや、でも待てよ、意外と「美人な女と不細工な男」という組み合わせは多い。となると、女って見た目はあんまり関係ないのか?