俺は悩んでいるのである。すっごく悩んでいるのである。

近くのスーパーによく買い物に行くのだが、そこでいつも買い物の手伝いをしてくれる人がいる。Sさんとしよう。この人、角度にして90度のことを15度と言っているのだ。それを指摘しようかどうしようか、すごく悩むのである。

店の棚って、たいていは通路が5番の目になるように配置されている。ということは、通路を歩くためには、90度あるいは180度の方向転換を必要とされる。したがって、「右に曲がります」とか言われれば角度なんて必要ないんである。この変は直感で納得できる。

しかし、Sさんは丁寧に、向かって右に進むときには「15度右に曲がります」と教えてくれるのである。しかし実際、この角度は90度である。Sさん、きっと算数とか数学は大嫌いだったんだろうなあ、と思うと、「いや、15度じゃなくて90度です」とは指摘しにくいんである。 <・p>

そういう悩みを持ってもう2年ほどになる。Sさんは90度のことをずっと15度だと思っているのである。ぶっちゃけこれって常識じゃないかと思うので指摘すべきなのかもしれないのだが、うー、でもなんか言えない。

ちなみに、実際は180度回転するときには、Sさんは「30度回ってください」と教えてくれる。一応「2倍」という概念はあるようだ。馬鹿にしているのではないのだが、やっぱ根本的に理解してないんだなぁ。

俺の前で言ってる分にはいいんだが、ほかの人の前でそういう風なことを言っているのかと思うと、老婆心ながら心配になってしまうのである。ねえ、日本人の大半が角度に対する概念を知らないならいいんだけど、細かい角度は別として90度とか180度とかは常識だろう。

でも、もうすでに指摘するタイミングを失ってしまった感がある。なんか、今更こんなことw言えないなあ。まあ、いいか、俺が「15度右に曲がります」といわれたら「ああ、90度ね」と思っていれば。