「タイムマシンが実用化されたら考えるべきこと:法律、倫理、そしてパラレルワールド」


タイムマシンの技術が仮に実用化されたとして、それを使うために必要な法律、倫理観、周辺技術について考えてみよう。




その前にタイムマシンを利用する意義について述べる必要があるだろう。まず、タイムマシンを使って過去へタイムトラベルできるとすると、個人的な欲求を満たすということに加えて、生物の進化の過程、地球誕生あるいは宇宙誕生のプロセスなど、これまで推定しかできなかったことを科学者が直接確認できるということがある。また、よく知らないけど、アインシュタインの相対性理論によれば、時間と空間は別のものではなく、時空という概念で結合されているはずだから、タイムマシンの技術は同時に瞬間移動の技術ともいえ、長距離移動が非常に簡便になる。




さて、タイムマシンの利用に当たっては、特に時間の移動を伴う場合に配慮すべき点がいくつかある。




その1つは因果関係に矛盾を生じさせないということである。少なくともこの世界の人類は一つの歴史を歩んできているのであって、一人の人間が平行して2つ以上の歴史を歩んでいるということは無い。従って過去・現在・未来に渡ってすべての事象における因果関係には矛盾を生じてはならない。例えば、よく出される例としては、自分が自分の産まれるより前の過去に行って、自分の母親を殺したとすると、自分は存在しないことになってしまい時間の流れに矛盾が生じてしまう。もっと重大な問題として、バタフライ効果によって、発生時点では小さな矛盾であったことが、その未来に与える影響が絶大なものになってしまうということも、カオスの研究からすぐに導かれる。




このような変化は、矛盾を生じさせる張本人にとっては急激なものになる。つまり、過去に行って母親を殺した自分が、変化した現在を体験するには、過去から現在へ戻る、という作業が必要となる。時間の移動中には他の時空から切り離されるタイムマシンを使っていると考えて良いと思うので、過去で矛盾を生じさせtqときには大した変化でなくとも、現在に戻ってくるとなっている、というわけである。




また、これを一般人の視点から考察してみると、ぜんぜん知らない他人が過去に矛盾を生じさせることで現在が変わってしまうことになるが、それはつまりその過去の時点から現在のこの時点までの歴史が変わるということである。先ほどの例のように人一人殺したところで歴史が変わるなどと大げさなことにはならない、というのは安易な考え方で、前述したようにバタフライ効果によって創造もできない歴史的変化が引き起こされる可能性は十分にある。分かりやすくいえば、過去に行って赤ん坊のヒトラーを殺せば、いったいどんな歴史になってしまうのか創造もできない。




しかも、このような歴史の大変化が起これば、単に歴史が変わるということに留まらず、様々な細かな事象の変化に伴い、人間の記憶にも影響があるということだ。それはすなわち、記憶が改変されるということである。ただし、これは「矛盾が生じたときに世界の因果関係に整合性を与える」という前提での話である。




だが自然な発想としては、因果関係の矛盾が生じた段階で、新しい歴史が基の歴史から枝分かれし、パラレルワールドが形成される、というものであろう。これは無数の世界が同時に進行することになり、各世界では一貫した歴史が歩まれるので、この点については問題ない。




さて、そろそろ寝たいので続きは次回にしよう。