全盲の外食チャレンジ:困難と工夫の毎日


全盲をやってて困ることはいろいろあるけれど、外食をするときに困るのは、一部の飲食店に行ったときです。具体的には、焼き肉、鍋物、各種バイキング、回転寿司といったところです。




それぞれの問題点を以下に挙げます。




焼き肉を食べに行ったとき、全盲は肉の焼け加減が分かりません。テフロン加工のフライパンでやってんならともかく、焼き肉は普通金網だろうから、ちょうど焼けたときに食べないと焦げます。さらにどこらへんに肉があるか分からず、箸で探さないといけませんから、ちょっと怖い。フライパンの上ならともかく、金網の上で肉を探すのは、熱いでしょう。




次に鍋物ですが、とりあえず灰汁を綺麗に取れません。だいたいどこに灰汁が浮いてるのか分からない。手で触るわけにはいかんし、箸じゃ分かりません。おたまで適当にとっても、灰汁だけを綺麗に救える保証がありません。また、いざ食べるとなっても、一人でやってるならともかく、誰かと一緒なら、具の配分も考えて皿に盛っていかないといけませんが、具材をセレクトするのが困難だから、偏ったりしてしまう可能性もあります。




バイキングはというと、だいたい何が置いてあるか説明してもらわないと分からない。一般的なメニューのように、テーブルに座ってメニューを読んでもらうのとは違って、料理が並んでいるところで教えてもらわないといけません。当然そこには他の客が料理を取りにやってくるわけで、ずっと立ってるのもじゃまになるわけで・・・。しかも自力で料理を取るのは困難です。だれもいなきゃ一人でやってもいいけど、一応他の人も食べる食材だしね、ぐちゃぐちゃにはできません。おまけに、料理を入れた皿をテーブルまで持っていかなきゃいけません。料理を持って、狭い店内を全盲が歩く。ああ、大変だ。




開店寿司は、ほぼ明かですが、今近くを回っているねたが何か分かりません。触れば分かるかもしれませんが、そんなことできるわけがありません。しかも、エビとかは分かると思うけど、マグロとサーモンは触っただけじゃ分からないと思いますし。サーモンにはタマネギが載ってることが多いので、この組み合わせに限定すれば分かるかもしれないけど、じゃあ、マグロとブリは触って分かりますか?




このように、いろいろと面倒な問題があるので、こうした飲食店に全盲だけで行くことはまずありません。ただし、中には全盲二人で焼き肉を食べに行った人とか、そういう人もいますが、ある意味チャレンジであって、日常的にはこんな店行きません、普通。




でも、家族とであればこういう飲食店に行く場合は多々あります。一般的な状況に置き換えれば、目の見える人と行くことは可能です。上記の問題は、目の見える人がいれば解決するからです。というか、普通は目が見えるからね、それで困ったらそれは別のところで困ってるってことだ。




しかしながら、上記で示したような問題を解決してもらうに当たっては、俺の場合、非常に申し訳ない気分になるのです。家族だったら別にいいけど、ちょっと親しい友人とか、大学の友達とか、そういう人と行ったときは。




例えば焼き肉のセクションで挙げた問題は、肉を取ってもらえば解決します。でも、自分の分を相手に取ってもらうって、やっぱ悪い気がするよね〜。回転寿司も同じです。




というか、全般的に「やってもらえばできる」というのが最終的な結論であるわけですが。それ、やっぱ相手に悪い。







というのも、今日知り合いと中華のバイキングに行って、迷惑かけっぱなしになってしまったから、何か良い方法はないかなあと思ったわけで。いつも、そういうところでは申し訳ない気分になってしまいます。




一番いいのは、そういう店に行かないことなんだけどね。・・・そういうわけにもいかない場合というのがあるわけですよ。以前に来たときは普通の店だったのに、久しぶりにきたらバイキングの店になってたとか。しかも入ってから気づいたとか。悲惨だ。




一番悲惨なのは、全盲同士でそういう状況になったときでしょうね。焼き肉を食べた友人は「店員に焼いてもらった」と言っていましたが、その論理だと「店員に取ってきてもらう」ということになるのか?無理だ、俺には。